第5章 夢への交響曲
ミ「さぁて!それじゃあ第一種目に行きましょう!いわゆる予選よ!毎年ここで多くのものが涙を飲むわ!!さて、運命の第一種目、今年は………これよ!」
ドラムロールが終わると同時にディスプレイに表示されたのは“障害物競走”の文字。
ざわざわとざわめく中、後ろの方でガガガ…と音がする。門らしきものが開き、どうやらそこがスタート地点らしい。
ミ「計11クラスでの総当たりレースよ!コースはこのスタジアムの外周4㎞!わが校は自由さが売り文句!ウフフフ…。コースさえ守ってれば何をしたって構わないわ!」
ミッドナイトがルール説明をする中、多くの生徒がよりいいスタートをきろうと、準備をする。
もちろん私も、後ろの方でスタンバイする。
ミ「さぁさぁ、位置につきまくりなさい…。」
ミッドナイトのこの言葉を聞きながら、鼻歌を口ずさむ。
みんなが緊張感をもってスタートラインに立つ。
ミ「スターーーーート!」
多くの生徒が一斉に飛び出していく。
マ「さーて実況してくぜ!解説アーユーレディ?!ミライマン!」
相「無理やり呼んだんだろが」
そんなやり取りが行われているとも露知らず、私は鼻歌から、歌を歌い、心の中で強く思う―――
風よ、巻き上がれ―――と。
マ「おおっと?!まだスタートしていない選手がいるぞ?!」
私を中心として、風が巻き上がるが、そよ風程度。
まだよ、もっと、もっと…。
相「…優雅崎、あいつ、いったい何を…。」
ゴオゥ――と、大きく風が巻き上がった。
―――それが、私のスタート合図。
『来た!さぁ、聞かせてあげる!戦場に降り立つ歌姫の歌を!!!』
私は、助走をつけて大きくジャンプする。そして風に身を任せて大衆のいるポイント…を大きく超えて、入試の時に見た仮想敵の上に軽い音を立てて着地する。
マ「おおおっと!?最後尾にいたA組、優雅崎歌がトップに追いついたああああ?!」
相「あいつ…わざと最後尾にいやがったな…!」
あ、何、実況が始まってたのね。てか、トップに追いついたんだ…!
その実況を聞いて多くの生徒がざわっとざわめくのが遠くからでもわかる。
『ごめんね、…お先に!』
もう一度、風に身を任せて大きくジャンプし、仮想敵を飛び越えていった。