第5章 夢への交響曲
なんで二人から告白された?今日はエイプリルフールかな?
…私には、愛される資格なんて持ってないのに。
すると、教室の出入り口が異様にざわざわと騒がしいことに気づく。
目を向けると、教室の出入り口が人でごった返していた。
『えっ、何、あれ』
教室の出入り口付近に行くと、いつの間にか隣にいた爆豪が
爆「どうせ敵情視察だろ、カス」
『敵情視察…?』
爆「敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな。体育祭(たたかい)の前に見ときてぇんだろ。」
冷静に分析する。こいつ、私に告白したはずなのに、どうしてそんな冷静なんだ。クソ、告白慣れでもしてるのか。
爆「意味ねぇからどけ。モブ共」
天「知らない人のこと、とりあえずモブっていうのやめなよ!!」
飯田君に突っ込まれるものの、爆豪は知らん顔。すると、人ごみの中から、声がする。
?「どんなもんかと見に来たが随分と偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴はみんなこうなのかい?」
人ごみから聞こえた声は、エコーがかかっているような…なんというか、二重になって声が聞こえた。
爆「ああ?!」
流石の爆豪もそれには、イラっと来たらしい。そして、人ごみの中から現れた彼は、目元のクマがすごく特徴的だった。
?「こういうの見ちゃうと、ちょっと幻滅するなぁ。」
…やっぱり、変だ。
さっきは、気のせいかなって思ったけど気のせいじゃない。この人、言葉系の個性か…?
『ねぇ爆豪。この人の声、変。』
爆「はぁ?!知らねぇよ!!!」
?「何?僕の声、変?」
『…うん、エコーがかかったように聞こえる。』
?「!…君、個性は?」
個性を聞かれて、思わず身構える。と、爆豪が私を背中に隠すように、前に出る。
爆「こいつにかかわんじゃねぇよ。消えろ、クソモブ。」
?「ひっどいなぁ。まぁ、もしかしたら僕の個性は君には無効力化されちゃってるのかもね…。」
個性の無効化…?
彼は、表情一つ変えることなく、無気力な感じではっきりとそう言った。
?「普通科とか他の科って、ヒーロー科落ちたから入ったって奴、結構いるんだ。知ってた?
体育祭のリザルトによっちゃ、ヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ…」
その言葉にクラス中がピリピリと張りつめた空気になる。