第4章 胸に秘めし狂詩曲
切「じゃあ歌ちゃんが個性を隠してたのも…。」
『うん、みんなが私を恐れて離れていくのが怖かったの。みんなが思ってる以上にこの個性は凶暴で恐ろしいから。
普段は、自分で自分の個性にストッパーをかけているけど、昨日のような…自分で自分を抑えられなくなったりしたらストッパーが外れちゃうの。』
轟「昨日のストッパーって、あの言葉か。」
『うん。…あ、轟君、その言葉むやみやたらに口にしないでね。自分が口にしても、ほかの人が口にしても、ストッパーは外れるの。』
轟「あぁ、わかった」
轟君には、一応、そんなことはないと思うが。くぎを刺しておく。
切「ということは…緑谷は個性について知ってたってことか?!」
『うん。…あと、そこにいる爆豪もそうかな…。』
「えっ?!」
『…爆豪といっくん、緑谷くんとは幼馴染だったの。それで小さいころ、個性を暴走させたことがあって…。それで二人は私の個性について知ってるの。』
「そう…だったんだな…。」
切島君が小さくそうつぶやくのが聞こえた。
轟君も黙ったまま何も言わなかった…否、言えなかったのかもしれない。
爆豪も、状況を理解したのか、何も言わなかった。…むすくれた表情のまま。