第4章 胸に秘めし狂詩曲
どこかで購入したであろう、洋菓子店でよく見る小さな箱をもった轟君が、二人を見て一言。
轟「…なんだ、爆豪と切島も来てたのか。」
爆「んでテメェが来んだよ。帰れ。」
切「いや、来て早々に帰れってどういうことだよ?!」
爆豪は轟君に向かっていきなり帰れコールをする。それに常識的にツッコミをする切島君。
轟「…まぁ、よかったお前がいてくれて。ちょうど聞きたいことがあったんだ。」
切「え、帰れコール、スル―?!」
なんと、爆豪の帰れコールをスル―し、爆豪に向き直り次の瞬間、衝撃的な発言をする。
轟「お前、歌と付き合ってるのか?」
……。
「『はぁ?!?!』」
爆「あ゛?」
轟君の表情は、いたって普通だ。というか、表情がよみ取れない。私と切島くんは驚きのあまり、ここが病院であることを忘れて、つい大きな声を出してしまう。
『いやいや、何を言っているの?!爆豪とは付き合ってないよ?!てか、爆豪が私のこと好きなわけないじゃん!』
そう弁明すると、轟君は納得したような表情になる。が、爆豪は、悔しそうな表情になる。
え、なんか変なこと言った…っけ?
え、でも事実、爆豪に好かれているとは思っていない。小さなころから、いじめっ子だったから、それに立ち向かうように私がいっくんのこと守ってて…。
で、気づいたら一緒にいたし…。
あれ、どう考えても爆豪からみて私って目の敵じゃないか。なのに、どうして今日はお見舞いになんて来たんだろう…。
轟「あぁ、それから歌、お前の個性について緑谷から聞いた。」
『え…?』
轟「…言霊だってこと。」
『っ!!!』
切「…歌ちゃん、君の個性は歌魂…じゃないのか?」
切島君と轟君の言葉に、勇気を振り絞ってこたえる。
『…うん、今まで黙っててごめん。でも、隠しておきたかったの。
言霊って、言葉で人を操り、傷つけ…最悪殺すことだってできる。幼いころは、どうして隠さなきゃいけないかわからなかった。
でも、その個性を知って多くの大人が私を利用しようとしたわ。…でも結局個性を使う使わないは私の意思。うまく扱えないからって理由で私を恐れていったわ…。』