第4章 胸に秘めし狂詩曲
音のしたほうを確認すると、それは予測した人物ではなかった。
『え、爆豪?切島君?』
爆「あ?なんだその反応」
切「お、歌ちゃん、調子はどうだ?」
予測しなかった人物に思わず間抜けな声が出てしまった。切島君は、気を悪くすることなく心配をしてくれる。が、爆豪からはなぜか怒られしまった。
爆「てか、見舞いに行くって、メッセージ送ったのになんだ、その反応」
『今、一つ一つ確認してるとこだったから…。』
スマホ画面を下のほうにスクロールしていくと、確かに爆豪からのメッセージに見舞いに行く、と簡潔かつ明解にメッセージが来ていた。
『…うん、ごめん。今確認した。』
爆「あ゛あ゛?!てめぇ!俺のメッセージは一番に確認しろ!!」
『えええ、そんな理不尽な…』
切「まぁまぁ、爆豪も落ち着けって。…でも、元気そうでよかった。」
切島君が爆豪をなだめながら、元気そうな私を見て安堵する。
『うん。昨日は、…散々だったね…。』
途中からなんといって言いかわからず、一瞬どもってしまう。
切「あー…。それから、歌ちゃんの個性の話なんだけど…。」
『う、うん』
やっぱり、そうだよね。あの場にいた切島君、轟君は昨日の様子から私の個性について聞きたくなるよね。
切「…歌ちゃんの個性は、歌魂だよ…な?」
それについてはもう隠しようがない。真実を正直に話そう。そう決め、言葉を紡ごうとしたそのとき。
―――コンコン
ノックをする音が響く。そして、とびらが開くとそこにいたのは、轟君だった。
爆「あ゛?」
切「おっ、轟も見舞いか!」
『…轟君…。』