第1章 再出発の前奏曲
『もしかして…、いっくん?』
?「えっ、その声は……!」
振り向いた彼の顔には見覚えがあった。
『やっぱりそうだ!いっくん!久しぶり!元気してた?!』
緑「歌?!」
私の名前を呼ぶと彼は突然、口元を押さえ、「優雅崎さんも、受験に…?」と、弱弱しく言いなおす。
『優雅崎じゃなくて、歌でいいよ!いっくん!』
にしし、と笑うと彼は、私が変わらないことに安心したのかほっとした表情を見せる。
いっくんこと、緑谷出久は私が小学3年生まで過ごした土地での友達だ。
(爆豪のこと聞いたらビビるかなー…。)
『ね、もしかして爆豪も今日来てるの?』
緑「あっ……かっちゃんなら、先に行ったよ」
『そっか―…。来てるんだね。』
そしたらまた、3人で学校生活送れるんだ―…。
プロヒーローを目指すのだからそんな生半可なものではない、とわかってはいるけど、なんだか想像しただけで心が暖かくなった。
そして、二人で入試会場へと向かった。