第3章 激動の序章曲
ある夢を見た。
曇天の空から、大粒の雨が降り注ぐ。周りを見渡すと、破壊されたビルのがれきがあちらこちらに散らばっている。
そして、私の足元には愛おしい母の死体。そして、叔父…否、私の本当の父の死体もそこにある。そして視線をたどっていくと、いっくんの死体、爆豪も…。
『なんで…』
体が熱い。心臓がこれ以上ないほどにどくどくと脈打つのがわかる。頭が、思考が追いつかない。
なんで、どうしてこうなった。
―ーー―おまえが殺した。
――――お前の個性は凶器だ。
――――なんて恐ろしい個性。
昔、少しだけお世話になった遠い親戚どもが私をうまく扱えなくてそう言っていた。
そんな言葉が頭に直接流れてくる。
そんなことない、
私は、私だ。
私の個性は…!
『やめろおおっっ!』
目を開けると、そこはいつものベッドの上。
私はどうやら、悪夢を見ていたらしい。
…半分過去で、半分は悪夢。
『夢…。』
まだ心臓が速い心拍を打っている。体も熱い。
ただの悪夢であったことに、安堵を覚える。
これが、激動の序章であることを示すとこを私はまだ知らない。
【激動の序章曲】
※序章曲=オーバーチュア