第2章 始まりのアレグロ
【相澤side】
入学して早々に、個性把握テストを行うにあたって、いくらかの不安はある。
まずは緑谷出久。
あいつは、能力を全く使いこなせていない。まるで、他の人の個性を自分のものとしたかのような…。そんな危ない橋を渡る気分に等しい。
だが、使いこなせればその力は平和の象徴・オールマイトをも超えるだろう。
それから、優雅崎歌。
優雅崎と言えば、かの有名な雄英高校出身の優雅崎律の娘だという。
…だが、その昔、その娘が能力を暴走させてあるヒーローを殺してしまったのだとか…。
これは、合理性に欠けるただの噂話に過ぎない。入試試験のデータを見てみると、まったくそんなかけらも感じさせない。
…はずなのに。
合理性に欠けるはずなのに、なぜだかその話が耳から、頭から離れてくれそうにない。
…まぁ、他にも不安はあるものの、今は個性把握テストを実施するとしよう…。