第9章 誕生の瞬間
「え?んなこと聞くんすか?今の時代」
和也が夜中まで続いた収録を終えて、
ただいま晩酌しています。
で、葵の話をしてあげた。
『私もびっくりしちゃったけど…』
「で?なんて答えたのよ」
『え?……パパがずーっと心配してたって』
「そりゃ心配しますよ、ワタシだって」
と最後の一杯を飲み干してビール缶を潰してキッチンに片付けにいった和也
『ふふ、あのとき気持ち悪かったねぇ』
「き、きも、気持ち悪いってあなた(笑)」
いや、気持ち悪いは失礼だったかな?
なんてテーブルに頬杖をつきながら、
和也の顎のホクロをジッと見ていた。
「なによ(笑)そんな好き?」
『好き』
「こりゃ、相当惚れてんのね和くんに」
『和也は?』
「ん?……好きですよ、あたりまえでしょ」
やっぱりこの人と結婚してよかった。
この人の子供が産めてよかった。
『和也、ありがとう』