第6章 原因は夫婦N -櫻井-side
俺に呆れた唯はすぐに寝室に向かって歩いてて俺も後ろから追いかけてた。
自分でも分かんないよ。
俺なんつーこと言ったんだろう。
「………唯」
「……もう寝るから、お風呂入りなよ」
寝てしまった唯を毛布ごと抱き締めるけど、
唯様は全面無視ということをしております。
「……翔くん、結婚したいの?」
不意にか細い声がそんな質問をしてきた。
「う、うん」
「……なんで?」
「え、いや……ニノの家行って……
なんかいいなぁって思いまして」
「…………二宮くんがそんな羨ましい?」
「え……いや、でも……うん。ちょっと」
だって、あんな可愛い奥さんと子供がいて
本当に幸せそうでいいなって思うよ。
「じゃあ、ちゃんとさ……
結婚すればいいんじゃない?」
「………………は?なに言ってんの?」
思わず唯が被ってる毛布を剥ぎ取って、
唯の顔を覗いて見た。
「……羨ましいんでしょ?
いいじゃん、しちゃえば?
あたしは翔くんが想像するような、
理想の家庭なんて作れる自信ないもん!」
唯の俺を見つめる目は強くて、
きっと考えてくれてたんだなと思う。
唯は一般人じゃないし、
結婚してもきっと女優を続ける。
だから、唯はそう考えていたんだ。
「……ごめんごめん
俺が悪かった。こんなさ、
投げやりに言うことじゃないよね」
唯の頭を優しく撫でて抱き寄せた。
スポッとハマるその頭の居心地がいい
「…………俺はさ、唯しかダメだよ。
っつーかちゃん人妻だしさぁ」
「……人妻とか、イヤらしい言い方」
「なに、イヤらしいことしたいの?」
「え、ちがっ……あっ……」
今回は夫婦Nのせいで少し喧嘩した。
でも夫婦Nのおかげでもっと好きになった。
「できちゃった婚でもする?」
「ば、バカ!」