第4章 いつのまにか
もうあと少しで触れる唇
「……楽しかった?」
和也の暖かい吐息がかかって、
少しくすぐったい。
『たの、しかった、よ?』
「そう?……よかった」
『和也、は?』
「…………のこと尊敬した」
『……え?』
そう問いかけるとソッと体を離して、
和也が笑いながら溜め息をした。
「母親ってすげぇなって、
毎日、ごはん作って洗濯したりして
家族のためにいろいろやってくれて…
悔しいけど……様様ですわ」
『ふふ……なんか嬉しいね』
「そう?」
『うん。そんなこと言われたら、
明日からがんばっちゃうな……』
「じゃあ、効果的だったわけね、これ(笑)」
『うん(笑)』
少し沈黙があったけど、
これは二人とも同じことを考えてる証拠
ほら、和也が手を絡めてきた。
「、ありがとう」
『……こちらこそ』