第9章 二宮さんとの休日
『もう、
私のオフだって言うのに。
散々こきつかわれてる!』
なんてグチを
こぼしながら
熱々のコーヒーを
カップに注ぐ
けれど、
ドジな私は
コーヒーを持つ手が滑って
パリン
二宮さんのカップを
割ってしまう。
しかも、片足全体に
熱々のコーヒーが
かかる。
『あっつ…!!!!!!』
やば、
カップが……
と思って
片付けようとすると
上から
ドアを開けて
慌てて階段を降りてくる
音が聞こえてきた。
「どうした!?」
普段冷静な二宮さんが
珍しく動揺している様子。
そんな大事な
カップなのかな…;;;
なんて思って
あわてて
『ごめんなさい!
カップ割っちゃって
すぐに片付けて…』
弁償しますって
言おうとすると
「そんなこといいから!」
と、手をひかれ
『あの!!;;』
お風呂場に連れてこられた。
二宮さんは
すぐに
冷水を出し
自分がずぶ濡れに
なっていることも気にせず
私をバスタブに座らせ
足にシャワーをあてる。
『そんな、大した火傷じゃ…』
男の人に
足をつかまれたの
なんてはじめてで
恥ずかしくなって
こんなことを言うと
「バカ!」
と言われた。
「お前はもっと
自分を大切にしろ!」
と怒られてしまった。
『…!!』
二宮さんは
それから数分
冷水で冷やして
ある程度冷えたら
ぬるま湯で
時間をかけて
火傷の応急措置をしてくれた。
その間ずっと
沈黙だった。
「…」