第38章 私立リアリン学園!15時間目~ミシェル~
「バアさんの到着か」
クロードが、ひょっこり顔を出した。
「反対側から来て正解だったよ。そうでなければ鉢合わせるとこだった」
「クロード、失礼ですよ」
ジル教頭が、たしなめる。
「そうだよ、クロード、バアさんなんて言うほど、お歳じゃないし失礼だよ」
「バアさんだろ。ああ見えて、これくらいか」
そう言って、指を立てて数字を指し示す。
その数字は、私の予想のかなり上をいっている。
「え、嘘っ!そんなに歳いってるの!?」
「マイン先生」
ギロリとジル教頭に睨まれて、縮こまる。
やれやれと言った調子で、ため息をつくクロード。
「しばらく窮屈な日々が続きそうだな。ジル、バアさんのお守りしっかり頼むぞ」
「言われなくとも。ヨハンナ夫人は、教育熱心なお方です。滞在中は、授業の参観をご所望です。特に、マイン先生の授業をとおっしゃってますので」
「え、私の?」
そういうご指名もらっても嬉しくないよぉ。
「マインが、教師としてやっていけるかどうか人生の岐路に立たされるってわけだ」
「あの方には、教師を辞めさせる権限はございませんよ。ですが、出資額の増減の采配は、夫人次第ですがね」
「出資額………」
「この学園に出資する価値があるのか、マインが判断基準になるんだ。名誉なことだな」
「えええっ!そんな責任重大なの!?」
「クロード、からかい過ぎです。幸いなことに、あのヨハンナ夫人に気に入られたようなので、心配はないかと。ですが、気を引き締めてくださいね」
なんだ、冗談か。心臓に悪いなあ。