第36章 私立リアリン学園!14時間目~ロベール~
すぐ近くに感じられる、透き通るような瞳。
私の剣幕に、驚いた顔をしているロベール先生―――。
「あ、ごめんなさい。ムキになってしまって」
つい、力んでしまっていつのまにか身を乗り出していたのだ。
慌てて目を逸らし、椅子に座り直す。
手元のカップに視線を落とし、口をつける。
「君は、いいコだね」
「んんっ!?い、いいコって………」
思わず紅茶を吹き出しそうになり、急いで片手で口を押さえる。
コホコホと軽く咳き込みながら顔を上げると、ロベール先生は穏やかな微笑みを浮かべていた。
「悪かったね、いいコだなんて。マイン先生は、立派な大人の女性なのに子ども扱いするのは失礼だね」
「いえ、そんな」
「前にも言ったけど、学園の内情には関わらない方がいい。君には、そのままでいてほしい。周りに流されることなく信念を貫き続けてほしい。これから先、何があっても」
真剣な口調。それなのに、この曖昧な表現の仕方。慎重に言葉を選んで発せられたのであろう。
何かもっと伝えたい事があるように感じられるのは、気のせい―――?
その表情をそっと伺う。ロベール先生の真意を測りかねる。