第4章 ピアノレッスン~シド~
~想い~
「調子狂う」
「え?」
シャツを羽織りながら、シドが呟く。
「こんなトコでヤルとか………お前、それでいいのかよ?」
「私は………シドとなら、どこでも………かまわないよ」
胸元のリボンを結びながら、はにかんで答える。
「この部屋のせいか?前も………なんでか、おかしな気分になっちまう」
シドは、ガリガリと頭を掻きながら、首を傾げている。
―――それは、ね。
シドに本当のことを話すのは、もう少し後にしよう。
たまには、私の方が優位に立つのも、悪くないよね―――。
私を引き寄せ、抱きしめると、頭のてっぺんにキスをする。
「次は、ベッドで抱く………なあ、今から、部屋行くか?」
「………っ、今からって!」
驚いてシドを見上げる。
「冗談だ」
いつもの皮肉めいた顔つきで笑うシド。
「もう!」
頬を膨らませて、顔をしかめて見せる。
―――やっぱり、シドには、かなわないのかも。
そんなことを思いながら。
シドの腕の中で、幸せをかみしめていた―――。
≪ピアノレッスン 完≫