第33章 私立リアリン学園!~アルバート~ 情熱編
「なぜそこまでしてリリカを演じる必要があったのですか」
「なぜって………私、普段は教師を目指す真面目ちゃんだったからね、どこかで冒険したいなって思ってたんだ。けど、そんな簡単に変われないからね。あんまりハメ外しちゃうと教師になれなくなっちゃうし。ひと時でも別の人生歩めたらって始めたのがメイドカフェだったんだ」
別の人生。
なんて突飛な発想なのだろう。
「俺は、そんなひと時のあなたに想いを寄せていたんですね」
「そのようだね。私であって私でない。でも、確かに存在してる。リリカは、ここにいるんだよ」
幼い頃からゼノ様の側近として、騎士となるべくして鍛錬に励んできた。それは、物心ついた時から決められていたことであり、同時に自身で選んだ道でもある。
それ以外の選択肢など考えたこともなかった。
自分であって自分でない。そんな、ひと時の人生があるというのは奇妙なことだ。
教師というお堅い職業を目指しつつも、メイドカフェでアルバイトするなどと自由奔放なリリカの生き方を面白いと思えてくるから不思議だ。
好きになるということは、こういうことか?
つまり、俺の今の状況は、まさに『恋は盲目』だ。