第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「ジル教頭、こちらもチェックお願いします」
さっきから、他の先生方からもひっきりなしに声をかけられ、指南している。
以前の忙しさが戻ってきたといった感じだな。
アーサーが来た当初は、生徒や教師の指導も口出ししていたけれど、最近は、そこまで手が回らなくなったのか、すべてジル教頭に一任している。
けれど、学園の運営に関することは、伯爵とアーサーから一切締め出されているようだ。
………この状況を、どう思っているんだろう?
もちろん、リアリン学園長の無実を信じてるよね。というか、あれはアーサー達がでっち上げたものであって、本当に無実なんだもの。いつもリアリン学園長のそばにいたんだから、今回のことが、はめられたことだって気づいてるはず。
それなのに、どうして何も言わないんだろう?
そんなにアーサー達が怖いのかな。
―――確かに怖い。
やっと消えた手首の痕。それなのに、今でも痛みが残っているような気がする………。
思い出すとゾクリと背筋に戦慄が走る。
この、ひっそりとした大きな陰謀の渦を前に、誰だって臆病になる。
私には立ち向かっていく勇気がない。それは、ジル教頭も同様だろうな。
けれど、この状況に甘んじてなどいないだろう。きっと何か策を講じているはず。