第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「卑怯、だよ」
「なんとでも。成功の裏に犠牲は、つきものだしね。ねー、でもさ。俺達、悪党一味の主張も聞いてほしいな。一方的な見解は、よくないと思うんだよね。こういう時は、両者の言い分に耳を傾けないと」
「………話して見たら?その悪党一味の主張を聞いてあげる」
「ありがと。パソコン見たならわかると思うけど、はっきり言って学園の経営は傾いてる。このまま彼女に任せていたら、破綻するのは目に見えてるよ。だから、その前に手を打った。俺たちは、言わば学園の救世主ってトコ」
「乗っ取りが救世主?」
「ほーんと、悪者扱い抜けないね。俺達は、突然こんなことしたわけじゃない。ずいぶん前から経営方針について助言してきた。なのに、一切耳を貸そうとしない。伯爵なんて、この学園のために、いくらお金かけてると思う?もちろん、伯爵一人でこの学園の資金を賄ってるとは言わないけど、口挟む権利あるくらいには出資してる。それなのに、締め出されちゃ、こっちだって強硬手段に出るしかなかったワケ」
「………」
「地位も名誉も欲しい。けど、それ以上にこの学園の存続が大事なんだよ。生徒達を立派に世に送り出したい」
アーサーのまっすぐな瞳を見据える。
今日まで、自分の頭が悪いとは思っていなかったけど………わからなくなってきた。
善と悪は、どうやって見分けるんだっけ?
正しいことをする人が善で、悪いことをする人が悪。
けど、正しいことをするために、悪いことをしたら―――?