第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「ぜ~んぶ見たんだ?じゃ、どういうコトか、頭のイイマインセンセーなら、もう察しちゃってるカナ?」
パソコンは、パスワードの入力画面。私が中身を見れるわけがないのだ。探りを入れているだけで、真実を知ったことや、ましてやデータを抜き取ったことには、気づかれていない。
大丈夫、うまくやれる―――。
コツコツと、わざと靴音を響かせながら、ゆっくりと近づいてくるアーサー。
「面白かった?カワイイ探偵さん」
「な、何のこと?探偵なんかじゃないよ」
「どうやってパスワード突破したかは知らないけど………おそらく近所の情報屋からかな?けどさ、張本人に見つかるとか、ツメ甘いなーとか思わない?」
「………っ!」
やっぱり、バレてる!?
情報屋って、シドのことを言ってるんだよね。
「仕方ないよね、教師としても探偵としても新米だしね。すーぐ顔に出ちゃうし。ま、ソコがマインのカワイイところでもあるケド」
余裕なアーサーの笑顔に、観念するしかない。
「伯爵とアーサーが仕組んだことなの?どうしてこんなことを?お金のため?」
「質問多いね。仕組んだコトって言い方、なあんか悪者扱いされてるみたいなんだけど?知っての通り、金なんて吐くほど持ってる」
コツン。
靴と靴の先とが当たって、音を立てた。
反射的に、一歩後ろへと下がる。