第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
リアリン学園長の口座にしても学園の口座にしても、二種類存在していて、その一つは、出入金が激しく使途不明金が多い。
これって、二重帳簿ってヤツかな。
そこで、ハッとする。
このデータのすべて―――なんというか、調べているというより、意図的に作り出しているというか。
まさか、これ………捏造している?
最初から学園を乗っ取るつもりで、リアリン学園長の罪を作りあげたってこと?
そう考えると、このデータの辻褄が合う。
手が震える。
もういい加減、探偵気取りはやめないと。
さっき、そう決めたんじゃん。
だから、もう、これっきりにしよう―――。
急いで、コピーのボタンを押す。
学園長室のドアと、応接室へと繋がる二つのドアを気にしながら、デバイスの点滅を見つめる。
あ~、もうっ。一分って、長い!
黒崎のパソコンの時もドキドキしたけれど、今はその比じゃない。
一秒ごとに点滅する緑のランプが、もどかしい。
早る心臓とは真逆に、ゆっくりと時が流れているかのようだ。
早く、お願い、早く―――。
点滅が、終わった!
「何してるの?」
急いでデバイスをパソコンから引き抜いたのと、アーサーの声が耳に入ってきたのは、ほぼ同時だった。