第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「よくわかったね」
「よくわかったね、じゃないわよ!こんなことするの、アーサーしかいないでしょ。何するのよ!」
「あれあれ、なんでそんなに怒るの?俺に逢いたかったんじゃないの?」
「………」
アーサーのキョトンとした顔を見たら、自分に余裕がなくて怒鳴ってしまったことが、情けなく思えてきた。
それと同時に、ここ何日かアーサーの姿を見かけてなかったことに気づいた。
黒崎の身辺調査で忙しかったから、気にしてなかったというのが正直なところだけど………。
「あっれー、俺のコト、気にも留めてなかったの?」
「えっと、いろいろ忙しくて」
「同じ学園にいるのに、なかなか顔を合わせるコトがないって、寂しいね。マインと話す時間がないとつまんないよ。ね、今夜出かけない?」
「………っ」
学園にいる時は、もちろん私は授業があるし、アーサーはアーサーでいつも忙しそうだ。確かに話す暇なんてない。
でも、だからといって、学園の外で会うのは、ためらいがある―――。
言いよどんでいると、察したようで、首をすくめてみせるアーサー。
「わかった。じゃ、ランチならいいよね?一緒に食べようよ。応接室で待ってるから」