第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「で?マイン先生達は、何してたの?」
「パソコンの調子がおかしいとのことなので、調べに来ました。もう大丈夫そうですよ。後は、マイン先生が判断してください」
チラリとUSBデバイスに視線を移し、何事もなかったかのように立ち上がり、去って行くセバスチャン。
………。
私は、ゆっくりとUSBデバイスを取り出す。
セバスチャンの言葉を頭の中で繰り返す。
『後は、マイン先生が判断してください』
判断って………。
コレをあえて持って行かなかったのは、私からシドに返せってことだよね。
黒崎のパソコンを調べたことを正直に話すも、このまま、ごまかし通すのも私次第って言いたいのだろう。
あのシドを前に嘘をつき続けるって………無理がある。
なんせ、ヘビに睨まれたカエル状態だもんね。
リアリン学園長の件との関連は置いといても、この怪しい入金は調べる必要がある。
私がここで黙ってしまったら、それきりだ。
黒崎の不正を暴けるなら、それに越したことはない。
誰から、どういう目的か、シドなら調べあげるだろう。
彼はプロだ。
―――降参。
すべてを話して、後はシドに任せよう。
探偵は、おしまいにする。
私は教師だ。教職に専念しよう―――。