第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「安心しました。では」
セバスチャンは、パソコンに向かうと手早く操作してデータを開いていく。
静かな視聴覚室には、カタカタとキーボードを叩く音だけが聞こえている。
黒崎のヤツ、慣れないパソコンをいつも一生懸命やってるから、絶対、この中に何かある―――。
「メールが、一番怪しいよね」
メールソフトが起動すると、心臓がドキドキしてきた。
これで、真相が解明される―――。
受信箱がクリックされると、画面を食い入るように見る。
『ロイヤルバンク・オブ・ジャパン』からのメールがズラリと並んでいる。
バンクってことは、銀行かな。知らない銀行名だ。
学園の給料が入る銀行ではないことは、確か。
不定期にメールが来ている。
『本日、一件のご入金がありました。ご確認ください』としか、書かれていない。
金額も入金元も何も書かれていないので、これだけでは、まったくわからない。
「外国からの入金のようですね」
「外国?意外過ぎるんだけど!黒崎って、世界でやり取りするほどの大物に思える?」
「大物かどうかは定かではありませんが。株を所持していて、分配金が振り込まれたのか。マイン先生風に言うなら、誰かに雇われていてその報酬が入金されている、といったところでしょうか」
「どこの国だろう?」
「わかりません。世界のどの国からでも入金や引き出しが可能ですし、このメールだけでは、特定できませんね」
「そっか。残念」
ガクリと肩を落とす。
また手詰まりかあ………。