第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「いろいろ語り合いたいトコだし。感動的な再会を祝して、カフェででもゆっくり話そうか?行こ」
「は?待って、行こって………無理。私、授業があるからっ」
近くなりすぎたアーサーとの距離を取り、持っていた年表と地図で壁を作る。
「授業って………マインって、ホントにセンセーなんだねー」
面白そうに笑みを浮かべるアーサー。その瞳は異様にキラキラと光っていて………。
「先生だよ!」
「じゃ、いつならいいの?ランチは行ける?店予約しとく」
アーサーは、スマホを取り出して電話をしようとしている。
「あ、あのね、午後も授業があるから、外にランチとか行けない」
「もしかして、俺のコト避けてる?それか警戒してる?」
………多分、どっちも当たってる。
こんなにグイグイ来られたら、逆に引いちゃうよぉ。
それが私に関心があるからという理由ならまだいいけど、アーサーは、この偶然を運命なんて思ってない。面白い要素でしかないのだ。
彼の瞳の輝きから、それを感じ取った。
―――やっぱり、軽い。
どこかで、すごくガッカリしてる自分がいる。
見た目や口調が軽いだけで、中身はそうじゃない。そう、勝手にアーサー像を作り出していたことに気がつく。
私は、何を期待していたのだろう………。
フルフルッと首を振って、自意識過剰な自分を追い出す。
これから、この学園で一緒に過ごすわけだし、いい関係を築いていかなきゃね。
この、少しの間にそう結論づけて。気持ちを切り替える。