第22章 私立リアリン学園!~カイン~ 情熱編
少し前のことだ。
追試が終わって。
妙に暑くて、汗で張りついた服が、うっとうしくて。
すぐに大浴場に向かった。
源泉からひいてきてるっていう、れっきとした温泉だ。
学園の中でも有名な風呂。
昨日の夜は、サッカー部のヤツらも一緒で騒々しく入ったけど。
今なら誰もいねえ。
生徒会のヤツらも、今から風呂入ろうなんて思わねえだろ。
つまり、貸切ってやつだ。
ゆっくり温泉堪能してやるか―――。
チャプンッ。
ああ~、いい湯だ。
お湯の中で手足を伸ばす。
じんわりと熱めのお湯は、身体にジンと染みていく。
頭に乗せたタオルで吹き出た汗を拭い、また頭に戻す。
やっぱ、気持ちいい………。
しっかし、食堂は暑かったな。
―――なんで、あんなに暑く感じたんだ?
ふと、アイツの顔が、思い浮かんだ。
さっきまでの追試を思い浮かべる。
和歌集だとか辞書だとか、引っ張り出してきやがって。
あれ、俺のために持ってきたんだよな。
本当、熱心なヤツ―――。