第21章 私立リアリン学園!7時間目~カイン~
と、いうことで―――。
私とカインは、今こうして向き合っている。
カインがテーブルに置いた回答用紙に手を伸ばす。
―――カインは、なんて書いたのだろう。
赤点になるほどのひどい論文って………?
ドキドキしながら、そっと用紙を裏返す。
と―――。
そこには、縦書きのマス目をまったく無視して、横書きの英文が書かれていた。
私は、思っていたのとまったく違う結末が目の前に飛び込んできたことに驚く。
………?
なんで、英文で書いてるわけ?
―――とりあえず。
私は、カインの達筆な英文に目を走らせると。
………。
え、嘘、すごい。
何、この論文―――。
読んでいく毎に、引き込まれる文章力。
的確な構成、問題定義、論点………。
どれをとっても、完璧だった。
私は、あまりの凄さに息を呑む。
これは………英文で書いたの差し引いても、満点にしたいくらいの出来だよ!
けれど。
フルフルッと首を振って。
冷静に思い直す。
「あのさ、すごいいい論文だけど………根本的なとこ、聞くよ?なんで英文なの?」
「いちいちうるせえな。別にいいだろ」
「いやいやいや、よくないでしょ。これ、現代文のテストだよ?それを英語で書くって、どういう思考回路しちゃってんの?」
あっ………と、いけないっ。
きっと、何か深い理由があるんだよね。
悩み多き世代だもん。
寄り添ってあげないと、だよ!