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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第1章 皆でお祝い♪ ゼノ様バースデー!




~キッチン~





「マイン様、パイ生地伸ばすのは俺がやるよ」

パイ生地を作り終えて、さあっ、と気合を入れている私に、ユーリがすかさず声をかけてくれた。

「これは、俺にまかせて」

「うん、ありがとう」

じゃあ、と、パイの中身にするニシンを切り分け始める。

それから小骨を丁寧に抜いていく。

………ふと、以前、ゼノ様と話した事が思い出される。





『俺の好きな食べ物?』

『はい、ゼノ様のお好きな物で料理をしたいと思いまして。あ、逆にお嫌いな物は、ありますか?』

いつも贈り物をもらってばかりなので、何かお返しができればと思いついたのが、得意な料理でおもてなしをする事だった。

何がお好きなんだろう………瞳を輝かせてゼノ様を見つめ、答えを待っていた。

そんな私に、ゼノ様は笑みをうかべながら、こうおっしゃったのだった。

『それなら………決まっているだろう。お前だ、マイン』

『………私、ですか?………えっと………それって………えっ、ええっ!?』

言葉の意味がわからず、目を瞬かせた。

けど、少し遅れて、ゼノ様が何をおっしゃりたいのか理解した途端、カアッと頬が熱くなっていって―――。

そんな私に構わず、ゼノ様は続けた。

『嫌いな食べ物は、魚だ』

『え、魚が、お嫌い………なのですか?』

意外な言葉が返って来て、つい声のトーンが上がってしまう。

ゼノ様と幾度と食事をしてきて、魚料理も度々出てきていたはずだった。

しかし、そんな素振りなど、微塵も感じられなかった。

『幼い頃、母がニシンのパイを作ってくれた事があってな』

ゼノ様は、遠い記憶に思いを馳せるかのように目を細める。

王妃であるお母様が手料理をふるまうのは、滅多にない事だったであろう。

だからこそ、特別な思い出なのだろうな。

幼いゼノ様は、ニシンのパイを喜んで頬張ったのだろう………そんな微笑ましい情景が目に浮かぶよう………。







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