第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
「ア、アラン?びっくりしたあ」
振り返ると、そこに立っていたのは、アランだった。
あ、そういえば、サッカー部と合同合宿だったっけ。
「こっちはサッカー部。生徒会はA棟って聞いてないのかよ?」
「そんなことくらい知ってるよ」
「ふーん、それなのに迷ってんだ?すげー方向音痴」
アランは、面白そうに笑う。
「違うってば!C棟はどうなってるのかなって覗きに来ただけ!」
「残念。まだ着替えしてねえよ」
「………っ、着替えを覗きに来たんじゃないって!」
も~う!
「ねえ、二段ベッドっていいよね。私、こっちの方がいいなあ」
「マイン先生がいいなら、こっちにする?ヤローと一緒だけど」
「ヤローと一緒は遠慮します」
アランが可笑しそうに声を上げて笑う。
「なあ、なんで荷物こんな多いの?」
「こんなもんでしょ。着替えとか勉強道具とか」
「は?勉強道具って。合宿来てまで勉強すんのかよ?」
「だって、レオが勉強時間も取ってあるって言ってたよ」
「生徒会は、だろ」
「サッカー部は勉強しないの?」
「しねえだろ、普通」
「するでしょ、普通。教えてあげるよ?」
「遠慮しとく。でもほんとは、この中にトランプとか入ってんだろ?」
「遊びに来たんじゃないんだから!」
笑いながら言い返して。
私は、A棟へと戻る。
A棟の最初の部屋に、私の名前の名札がある。
ここが私の部屋か。
あ、私の向かいはゼノ様だ―――。
「あれ、マイン先生、早いね」
レオが、奥の部屋から顔を出す。
「レオの方が早いじゃん」
「俺は部屋割り係だから。マイン先生の部屋、一番手前で良かった?」
「うん、どこでもいいよ」
「荷物置いたら、台所に集合ね」
「了解!」
私は、自分の部屋のドアを開ける。
部屋の中には、勉強用の机とベッドがあるだけだ。
やっぱり、二段ベッドの方が良かったなあ。