第19章 私立リアリン学園!6時間目~ゼノ~
「………すみません、ゼノ様」
カインは、ゼノ様に頭を下げると、椅子に座り直す。
いつもは見ることのない、かしこまったカインの姿に驚く。
「すまなかったな、マイン先生。俺は生徒会長、3年、ゼノ=ジェラルドだ」
―――ゼノ様。
まだ三年のクラスの授業を担当していないので、この学園に来て、ゼノ様に逢うのは初めてだ。
そして、これは、二度目の出逢いでもある。
夏休み。
ゼミでのアルバイトを終えた帰りに立ち寄ったカフェで、初めて逢った。
今と同じように、ものすごいオーラを感じたのを覚えている。
ゼノ様は、シュタイン国の次期国王となる方だ。
基本、生徒は呼び捨て。敬語は不要。
前に、ジル教頭から聞いた。
そして、生徒の中にも例外がある、とも言われた。
その例外が、ゼノ様であることは、間違いない。
ゴホンッ。
と。
わざとらしい咳払いが、聞こえる。
「自己紹介の続きをしても構いませんか?」
ゼノ様の隣りに座っている、メガネをかけた真面目君が、控えめに口を挟む。
「あ、はい、どうぞ!」
「………書記を務めている、二年のアルバート=ブルクハルトです」
真面目君が、ペコリと頭を下げる。
ゼノ様の次にアルバートを見て、気がつく。
そういえば、あのカフェにゼノ様と一緒にいたのは、アルバートだった!
私の手首を掴み、ねじり上げて、
『それ以上、ゼノ様に近づくな』
そう、言った人―――。
アルバートは、ゼノ様の側近、なのかな。