第8章 私立リアリン学園!HR
私立リアリン学園!HR
~初日~
「ここが、女子宿舎となります。私がご案内できるのは、ここまでとなりますが何かご質問等ございますか?」
「はい、大丈夫です」
「この後は………」
「荷物を置いたらすぐに学園長室に、ですよね?」
「ええ。では、私はこれで」
「セバスチャン、いろいろありがとうございました」
私は、軽く頭を下げると、去って行くセバスチャンの後ろ姿を見送った―――。
今朝早くに家を出ると、目の前に黒い高級車が停まっていた。
学園からの迎えだという彼は、セバスチャンと名乗った。
………風貌は、どう見ても日本人なのだけれど。
そこを突っ込んでいいものか迷ったけど、とりあえず初対面だし、と思ってスルーしておいた。
彼の運転で、このリアリン学園に来たのだけど。
学園のある都市に入る前に、まず大きな施設に立ち寄った。
IDカードの作成、指紋登録、その他諸々の書類に捺印………。
入念な入国審査が行われた。
荷物検査を受けながら、周りの厳重な警備体勢に目を奪われた。
リアリン学園については、実は詳しく知らない。
この辺りは、学園都市として形成されているそうだ。
独立した統治権を容認されていると聞いたことがある。
別名、『リアリン市国』とも呼ばれている。
実際、小国として独自の文化を築いていて、一歩足を踏み入れると、街並みが異国と見間違うほどだ。
その都市の中心部に位置するリアリン学園に到着すると―――。
まず、圧倒的に広大な敷地に驚いた。
都心にあると思えないほどに緑が広がり、その隙間からお城を思わせるような豪華で雄大な校舎が姿を見せていた。
あれが、学校って………。
私は、驚きの連続で目をみはる。
車は校舎へと向かう道から少し逸れて、この、こじんまりとした可愛らしい古城を思わせる女子宿舎の前で停まった。