第7章 私立リアリン学園!予鈴
私、教師になれるんだ。
嬉しくて飛びあがりたいくらい。
けど。
そんな自分を押さえつけて、冷静になろうと努める。
そして、疑問。
本当に世界一と言っても大げさでない、すごい学校で。
で、そんな学校から、なんで私に声が掛かったんだろう?
「なぜ私に?といったところでしょうか」
私の顔を覗きこみ、思いを代弁するかのようにジル教頭はそう言うと、上品な仕草で目の前のお茶を少し飲み、言葉を続けた。
「そもそもの発端は、前任の教師が大病を患いましてね。この夏の間、治療に専念していたのですが、急に………」
そう言って、ジル教頭は、目を伏せる。
その様子に、話の先が読めてしまって。
………え、まさか、その方、お亡くなりになった、とか………?
「あ、あの………心中お察しします、お辛かったでしょうね」
私は、しんみり、そう言うと………。
「世界一周に、旅立たれまして」
「………」
静寂がやってきたかのように、少しの間、私の思考は止まってしまって………。
ようやく言葉の意味を理解して、拍子抜けしてしまう。
「は?………世界一周って………旅行、ですよね?」
「ええ。病気が完治して、新学期から復職の予定でしたが、残りの人生を謳歌したいとのご希望で、早期退職されました」
「………」
私は、少し冷めたお茶を流し込むように飲む干す。
この人………絶対、私の反応を面白がって、わざとこんな言い方をしたんだよね?
睨みつけたい衝動にかられながら、目の前のお茶に視線を落としたまま堪える。