第7章 私立リアリン学園!予鈴
私立リアリン学園!予鈴
~採用~
相変わらずの、ギラギラと眩しい太陽。
海にお祭り、花火、バーベキューと、去年までの私は、大好きな夏をめいっぱい満喫していたのにな。
日常紫外線のみでうっすら日焼けした、今年の腕を見て。
そっとため息。
楽しい夏を諦めて仕事に打ち込んでるんだから、何か成果を掴まなくちゃ………。
私は、本気で焦っていた。
メイドカフェのバイトを辞めて、いくつかの塾講師の求人応募をしたけれど、どこもダメだった。
あっという間に時は経ち、講師でいられる期間も、残り僅かになってしまっている。
このままだと、あと少しで完全に無職―――。
今朝、事務室で、
『明日印鑑を持って来てください』
って言われたから、もしかして来期もお願いしたいってことかな?
なんて、一瞬、喜んだのに。
なんのことはない、契約終了の書類に捺印してほしいとのことだった。
思い出して、また、ガックリと肩を落とす。
―――今日の授業は、どこか抜け気味で。
焦れば焦るほど失敗が続いて、散々だった。
お弁当を食べ終えて。
空腹も満たしたし、午後からは切り替えて頑張ろうと思っても空回りするばかりだった―――。
あー、もう、今日は最悪!!
三時間分の授業を終えて、沈んだ気持ちで事務室へと向かう。
次は、空き時間だ。
一時間空けた後に、最後にもう一時間の授業で、今日は終了だ。
最終授業くらい、しっかりこなさないと。
今日一日が後悔で終わってしまうのは、絶対に嫌だ。
事務室で次の授業の準備をしようかな。
それとも、近くのカフェに息抜きに行った方がいいのかな………。
そんなことを考えながら、とりあえず事務室に戻る。
「あ、虹野先生、お客様がみえてますよ」
事務員に言われて。
「え、私に?」
「次の時間は、授業ないですよね。応接室にお通ししてますので」
………私に、お客って?
意外過ぎて、驚きを通り越して、戸惑ってしまう。
―――誰だろう?
ここで、講師をしてることは結衣くらいしか知らない。
だからといって、結衣が来るとは、思えないし………。