第5章 私立リアリン学園!序章
近くに来たウエイターに、結衣がルージュとブランを注文している。
「このお店のオリジナルカクテルなんだよ。どんな味なのかな、楽しみ」
私も残り少ないビールを飲み干し、カクテルを待つ。
ウエイターがレオナルドさんに注文を伝えると、ああ、と頷いている。
そして。
透明な水差しのようなポットから、小さなグラスに目の覚めるような真っ赤な液体を注ぎ入れていく。
続いて、今度は、別のグラスに透明な液体が注がれて………。
そうして、運ばれてきた二つの小さなグラス。
赤い方がもちろん、ルージュ。
そして、水のように透明な方がブラン。
「これ、ヴァンパイアの飲み物って言われてるんだって」
「ヴァンパイア?」
私は、思いがけない言葉にびっくりして聞き返す。
「このルージュは、血。ブランは、血の代替えとして飲むらしい。だから、この店には人知れずヴァンパイアがやって来るって噂なんだよ」
ヴァンパイア―――。
………馴染みないなあ。
あ、そういえば。
お店の名前、『ヴァン』だった。
ヴァンパイアからつけたのかな。
そうだとしたら。
レオナルドさんの趣味ってことだよね。
………ヴァンパイアマニアってとこ?