Lucky Sound ...and Light?
第1章 1
俺はブース内でドラムを叩いているshujiを見た。
「ドラムやろ?shujiが叩いとるで」
すると詩織が首を横に振る。
「ドラムじゃなくて・・・もっと低くて、お腹に響くような・・・」
俺はshujiの前、黒い長イスに座ってチューニングをしているka-yuを見た。
「んじゃあka-yuのベースやないか?」
詩織はまた首を横に振る。
「ドラムでもベースでもなくて・・・こう・・・」
言いかけて詩織はある一点を見つめて動きを止めた。
「詩織?」
俺が声をかけた瞬間、詩織が俺の服の袖を掴んだ。
「・・・何や」
「・・・・・・し、しばらくこのままにしてて良いですか?」
相変わらずどこかを見つめながら、詩織が呟いた。
その顔には、焦りの表情が浮かんでいる。
「・・・何やねん。・・・・・・まぁ、別に───」
良いけど、と言おうとしたその時、shujiのバスドラが炸裂した。
「きゃあ!!」
詩織が悲鳴をあげる。
そしてそのまま俺の左腕にしがみついてきた。
次の瞬間、フッとスタジオ内の照明が落ちた。
「きゃあぁ!!」
また詩織が悲鳴をあげて、更に強く俺にしがみつく。