Lucky Sound ...and Light?
第1章 1
今日は新曲のレコーディングの日。
始める前にまず、各々の楽器のチューニングをする。
メンバーがブースの中でチューニングをしている間、俺は身体が楽器なもんやから、とりあえずブース外で待機。
デモテープを聴きながらふと、俺の左隣に座り、難しい顔をしてノートパソコンのマウスを動かしている、マネージャーの詩織を見た。
「んー・・・」
「詩織、どうかしたん?」
「・・・・・・もう一枚・・・もらっても大丈夫かなぁ・・・」
ひょいっと身を乗り出してパソコンの画面を覗くと。
「・・・・・・何やっとん?」
「え?あ、ブラックジャックです」
(──────)
「───詩織」
「はい?」
俺は画面を見つめたままの詩織を呼んだ。
そして。
「──いっっったたたたたたた!!!!」
「お・ま・え・は・な・に・を・し・と・る・ん・やー!!」
両手で作った握り拳を、思いっきり詩織のこめかみに当てて、手首をぐりぐりと捻った。
詩織は悲鳴をあげて、身をよじっている。