第25章 猫とカラ松
<ヒナside>
明け方……
私は薬を飲んで着替え直す。
まだ湿ってる服は私の気持ちをさらに落ち込ませた。
何もなかったように私とカラ松は家へ帰る。
他の六つ子たちが騒ぎたてたが、カラ松はいつもどおりだ。
いつもどおり……
何があったかは絶対に言わなかった。
それからまたいつもの日常が戻る。
カラ松は私に優しい。
いつだって優しい。
それが余計に私の心を締め付けた。
「ねぇ、おそ松兄さん」
「んー?」
「カラ松兄さんが気持ち悪い」
「唐突だな!?」
トド松が真顔で言うので、チョロ松がつっこむ。
「え?今更じゃ?」
「お前ら、ひどくないっ!?」
更につっこむ。
「最近、カラ松兄さんのイッタいの聞いてない気がするー!」
「そういえば俺もずっと蹴り殺してない」
「いや、殺す基準ってどうなの!?」
「そうそう!痛くないんだ!」
「あーたしかに最近、肋骨の調子がいいと思ったよぉ」
「だから、基準がおかしいって……」
チョロ松が兄弟を呆れ顔で見渡した。
会話に入らず、家事をしているとおそ松が近づいてくる。
「なぁ?ヒナ」
「えっ?」
「……どうなの?」
「え?何が?」
「カラ松兄さんのこと」
「カラ松が何?」
「ヒナはどうしたいのー?」
おそ松に続けて、トド松、一松、十四松が私を見た。
「私……」
「え、え?どうゆうこと?!」
「お前気づいてないの?
ヒナはカラ松が好きなんだよ」
「……」
「まじで……僕だけなの?
気づいてなかったの」
「まぁ本人も気づいてないから安心しなよ、チョロシコスキーちゃん」
「シコ言うな!」
「私っ!カラ松と話してくる!」
「あーはいはい、チビ太んとこだぞ」
「ヒナー、頑張ってねー!」
みんなは笑顔で私を見送る。
私はカラ松の所へ走った。
「あーあ、もうっ!なんで俺様じゃなくて、あいつなの!?」
「しかも、後押ししちゃうとかね。
あー……ほんと嫌になっちゃう」
「カラ松兄さんもヒナも幸せなら、僕は我慢するー!
ねっ?一松兄さん」
「いや、俺はあいつが泣かない程度にクソ松後で殺すから」
「何それ……僕なんて全然ダメダメじゃん」