第25章 猫とカラ松
<ヒナside>
中に入ると、思ったより小綺麗にしてあってホッとする。
「着替え持ってくればよかった……」
「レ、レディ、これを着替えに」
どこから出したのか、バスローブ……
しかも、自分の分もしっかり持っているカラ松。
ご丁寧にこれは私の物らしい。
「……」
「ノンノン!レ、レディ!これはデートの嗜みだ!
け、決して、こうゆう所へ連れてくる為じゃないぞ!?」
嗜みなの?
いや、うん……カラ松ならあるのかな?
「ありがとう。
じゃあ、先にシャワー使うね?」
「は、はいぃ!」
シャワーからでると、カラ松は床に正座してる。
「カラ松?風邪ほんとに引いちゃうよ?
シャワー入ってきて」
「あ、ああっ。そ、そうだな!」
私は濡れた服をかけ、ベッドに潜った。
今日も楽しかったな。
カラ松と出かけてよかった……
ふと、雨の音で目が覚める。
私はカラ松がシャワーから戻る前に寝てしまっていたようだ。
外はもう真っ暗だ。
薄暗い部屋の中、カラ松はベッドの脇に座っていた。
「……カラ松?起きてたの?」
「……この状況で俺が寝られると思うのか?」
カラ松は小さくため息を出した。
何か怒ってるようだった。
「え、えっと」
「俺は……
ヒナの親でも兄弟でもないんだぞ?」
「わ、わかってるよ」
「わかってないっ」
カラ松は大きな声を出し、私をベッドへ押し倒した。
「目の前で好きな女が無防備で寝ているのを我慢できるほど、俺は優しくない」
「カ、カラま……っ」
カラ松は私に口づけをする。
深く深く私に知らしめるように……
まるで歯止めのきかなくなった獣のようだ。
カラ松の激しい熱に溺れそうになりながら、私は思いしる。
気持ちに気づいてたのに私は甘えていたんだ。
それがカラ松を傷つけていたというのに……