第25章 猫とカラ松
奥に進んで行くと円柱の建物が見えてくる。
外側はなんも変鉄もない建物だ。
実はこの建物にヒナを連れてきたくて、ここまで来たようなものだった。
「すごい……」
中に入るとステンドグラスが外の光を彩っている。
カラフルな光が俺達を包む。
ヒナの驚きと心奪われている姿を見れて、ここにきて良かったと俺はホッとした。
「みんなの色全部あるよ。
赤色、青色、緑色、紫色、黄色にピンク!
みんなの色大好き……」
嬉しそうに俺たちの色に触れるヒナ。
俺は胸が高鳴り、ギュッと抱きしめた。
ニコニコと俺に笑顔を見せる。
んー?何かおかしいぞ?
抱きしめると頬を染めて、たまらなくキュートになるはずなんだが……
「ねえ、私の色って何色かな?」
「レディは純白のホワイトでどうだ?」
「んー……神松くんとかぶるよ?」
「ホワイ!?なぜ神松を知っている?!」
「え?たまに見るよ?」
当たり前のように答えるヒナ。
「ええっ!?その……何もされたりしてないか?」
「やだなぁー、神松くんが私に興味もつわけないよ!」
それはどうゆう意味なんだ?んん?
ヒナは危なっかしいうえに鈍感だから、俺は心配でしょうがなくなる。
きっと俺の気持ちも気づいてないだろう?
夕暮れになると空は雲行きが怪しくなってくる。
「早く駅戻らないと……雨降りそうだよ」
俺達は植物園から急いで駅へ向かったが、突然、激しく雨が降り注ぐ。
慌てて二人で軒下へ逃げ込む。
「降ってきちゃったね?
あーあ、グショグショだ」
濡れた髪を横に分けながら、苦笑いのヒナ。
かばんからタオルを出して、俺の頭を拭く。
「レディも風邪引くぞ」
「雨止むまでに電車間に合うかな?
本数すごく少なかったし」
「それより、濡れた身体を何とかしないと……」
「「…………………」」
二人の視線の先には、恋人たちが愛を育むホテル。
さ、さすがにここは無理だろう!カラ松!
初めてのデートだぞっ?
「あー……
しょうがないよね!走ろう、カラ松!」
「へ!?あ!ちょっとヒナ!」
ウェイトッ!!この流れは本気か!?