第25章 猫とカラ松
<カラ松side>
俺とヒナは遠出することになった。
近場は誰かしらに行かれてしまっていたからな……
家ではみんなに愛され、ヒナは幸せそうだ。
なかなか二人きりにはなれず、ブラザーたちと出かけてばかり。
俺は少し寂しい。
だが、ヒナの楽しそうな顔をみると俺も幸せな気分になる。
猫だと知る前、屋根で出会ったときのことを思い出す。
夢なら覚めるなと願った。
しかし、あのときのように急に目の前から消えたら、俺は耐えられるだろうか?
「レディ!目的地はここだ!」
「植物園だー!さすがカラ松!
カッコつけなくても看板見えてるけど……」
「フフーン、ちょっと距離があったが、いいチョイスだろ?」
中へ入ると色とりどりの花々が俺たちを迎えいれる。
ヒナは俺の腕を掴みながら、目を輝かせ花々を見入っている。
なぜ、こんなにもキュートなんだ!
「花がいっぱい!すごい綺麗……」
「レディには負けるさ」
「もー、カラ松は誉めてるのか、カッコつけてるのかよくわかんないよ?」
「ん?カッコつけ……
いや、レディだから言ってるんだぞ?」
「あっ!あっちにも温室あるよ!」
「んー?」
花々に囲まれる美しいプリンセスを独り占め。
こんな幸せなことがあっていいのだろうか。
時間が止まってしまえばいいのに……