第23章 猫と一松
一松は私をパーカーの中に入れ、抱えられながら外へ出た。
「おかえりー!あれ?ヒナちゃんは?」
「……ここ」
「あー、猫になっちゃった?」
「怖かったんじゃない?
もう夕方だし、このまま帰ろう」
「え!?か、観覧車は?!」
「そういえばカラ松と最後に乗るはずだったっけ?
てか、無理でしょ?
猫で見つかったら大変だよ」
「くっ、スピンオブラブがっ!
俺のデスティニーは一体どこへ向かうんだ!」
「はいはい、いったいよねぇ」
「……」
「一松兄さん?どうしたっすか?」
「……なんでもない」
遊園地から帰って……
突然、私は薬を飲んでも、猫のまま元に戻らなくなった。
一松のことが気になって、頭が回ってない。
だから、ちょうどいいかなと私は思っていたが、六つ子達は私の異変にすぐ気づき、心配してくれた。
みんなとデカパン研究所へ向かった。
「わからんダス」
「いやいやいや、わからないで済まないでしょ?!」
「わからんものはわからんダス。
急激な感情で変化することはあるダスが、戻らない原因はわからんダス」
「レディ……元気を出してくれ」
「お化け屋敷よっぽど怖かったんだね?」
「そーなの?」
「……知らない」
「……ふーん?」
「ほええ……もしかしたらダスが、本人が戻りたくないんじゃないダスか?」
……戻り……たくないのかな……?