第23章 猫と一松
<一松side>
ニート7人で遊園地。
まぁ全員で来れば、俺のクズ闇オーラもそんなに目立たないでしょ。
「ヒナ-!あれ乗りたい!」
「レディ、俺と観覧車でスピンオブラブ!」
「痛いし!スタートから観覧車とかないから!
ヒナちゃん、僕とはあんまり怖くないやつ乗ろうねー?」
「僕もあんまり絶叫系は得意じゃないんだけど……」
「んじゃ最初にあれ乗ろうぜー!」
「おもっきり絶叫だよ……」
「……俺はやめとく」
「だめー。行こ!一松」
俺らはこーゆうところ滅多に来ない、周りはリア充ばっかだし。
兄弟達のテンションは上がる一方だ。
つっても、俺もみんなで騒ぐのは嫌いじゃない。
絶叫系は得意じゃないチョロ松とトド松が交代で休んでた。
ヒナの隣は仲良く順番。
さりげなく手を握ったり肩を寄せたり、水面下では、し烈な戦いが行われてたけど。
……まぁ俺はあのお化け屋敷であいつの怖がる顔だけ見れたらいいや……ヒヒッ
「ヒナ叫び過ぎ!後ろの十四松も合わせて叫ぶし、煩すぎて耳がもげる!」
「だって!叫ばないともっと怖いし!」
「怖いし!」
「十四松!お前は叫びたいだけだろ!」
「バレたー!」
「でも叫んでるヒナちゃん、超絶可愛いなぁ♪
自分が怖いの飛んでっちゃったよ」
「ねぇねぇ!叫んだら喉かわいたねー!」
「ねー、ちょっと休憩しよ♪」
ドリンクを飲んでるヒナとふと目が合う。
俺に笑顔を見せ、近寄ってくる。
こんな明るくて賑やかなとこで、俺に笑顔なんて向けないで……動悸で苦しくなるから。
「一松、飲まないの?」
「……今そんな喉乾いてない。
お前みたいに叫んでないし」
「じゃあ、半分こしよ!」
そう言って、俺の前に飲んでいたドリンクを置いた。
これは……間接キスをしろと?
兄弟全員の視線が俺に向く。
この中で俺にヒナが使ったストローで飲めっていうのか!?
む、無理すぎる!何この試練!
「あ、ごめんね?はい!新しいストロー」
ニコニコと自分が使ったストローを捨て、新しいストローを挿すヒナ。
天然過ぎるだろ!
俺はヒナに翻弄されるゴミ。