第22章 猫とトド松
<ヒナside>
何これ……つまんない……
いや、行くって決めたのは自分なんだけど。
トド松が合コン行ったって聞いて、ちょっとムカついちゃって自分も行くとか言ってしまった。
トド松が合コン行くのは自由なのに……
私が行かないでって言ったらやめてくれたかな?
知らない男の人たちとお酒飲むのって結構疲れるんだね……
肌が近いのも嫌。
松野家だとすごく楽しいのにな……
合コンは二次会でカラオケ行こうと盛り上がってる。
私は疲れたので帰るねと謝りながら言うと、男の人に肩を掴まれ、しつこく誘われた。
「触るな」
ドンッ!と男の人は押されて離れる。
目の前に現れたのはトド松。
私が見たこともない怖い顔を男の人に向けていた。
「ト、トッティ?」
「行こう」
トド松は私の手を引き、一緒にその場から離れた。
しばらく手を引かれながら歩くと、トド松は私のほうへ振りかえる。
「……他、どこ触られた?」
「え?」
「さっきの人にどこ触られたの?」
「か、肩を掴まれただけだよ……」
私がそう言うと、トド松は私をギュッと抱きしめる。
「無理!
ヒナちゃんが、他の男に触られるなんてあり得ないから!」
抱きしめられて、トド松の匂いに安心する私。
さっきまでの嫌な気持ちが飛んでいく。
ああ、私はトド松が好きなんだ。
匂いで気づくってどうなんだろ?
ちょっと変かも……
「好きなんだ。
ヒナちゃんが好きです」
「トッティ……私もトド松じゃないとダメみたい」
お互いの気持ちを確かめ合うようにキスをした。