第21章 猫とおそ松
<ヒナside>
私は二階の部屋から外を眺めていた。
おそ松くんは帰ってきたと思ったら、トト子ちゃんと出掛けてしまった。
……トト子ちゃん、可愛かったな。
おそ松くんはトト子ちゃんにも触ったりするんだろうか?
「ただいまーっと」
「……おかえり」
おそ松くんは当たり前のように私の隣に座り込んだ。
ほんのり顔が赤い。
飲んで来たのかな?
「ん、どっしたー?」
「何でもないよ」
「あ、そ。
今日は薬飲まねーの?」
「朝、飲んじゃったもん」
「そういえばそーでした」
背を向ける私の髪をいじりながら、そっけなく答える。
「トト子ちゃんとどこに行ってたの?」
「ん、ああ。ちょっとね……
気になる?」
おそ松くんはニヤニヤとしながら、私の顔を覗きこむ。
いじわるだ。
「……別に聞いただけだし」
「だから気になるから聞いてきたんだろ?
……こっち向けって」
「やだ」
「拗ねてるようにしかみえねーって。
俺のこと試してんだろ?」
「ちっが!………んんっ!?」
手で顔を向けられ、無理矢理キスをされる。
肩を押しても、叩いても退かないおそ松くん。
私の口にはお酒の匂いが移る。
くらくらする……
おそ松くんの強引な感情が私の中に入り込む。
苦しくて苦しくて、私はおそ松くんをドンッ!と突き飛ばした。
「………っ」
「……そんなに嫌かよ」
息も切れぎれに私は部屋から逃げだした。