第21章 猫とおそ松
<おそ松side>
俺は気晴らしにパチンコにきていた。
最近、ヒナとは口喧嘩ばっかりだ。
まぁ大体俺が悪いんだけどさ、一緒にいると可愛いし、いい匂いするし、触りたくなるし……
しかも、真っ赤になって怒る顔も可愛いときた。
ヒナに、もーメロメロな俺。
我慢したいよ?
ずっと見てたいし、
そばにいたいし、
大切したいんだけどなぁ……
そんな金も持ってないから、すぐになくなって家に戻っていると家の前で声をかけられる。
「あ、おそ松くーん」
「あれ?トト子ちゃん」
家の前には俺達の幼なじみのトト子ちゃんがいた。
俺達六つ子のアイドルだ。
「トト子、今日はなんかパーっとしたい気分なの。
どこかに連れてってよ、おそ松くん」
あー相変わらず可愛いなぁ~トト子ちゃん。
でも、そんな気分じゃないんだよなぁ……
俺はチラッと家を見た。
すると、家の屋根に猫のヒナがいた。
こっちを伺うようにジッと見ている。
俺はちょっと考えた。
「トト子ちゃんのお願いなら、どこにでも連れて行くよー!」
俺はトト子ちゃんと家から離れた。
しばらく歩くと結局、金がないことがバレて腹にグーパン食らって、トト子ちゃんは帰ってしまった。
俺はすごすごと家に帰るわけにもいかず、チビ太のハイブリッドおでん屋に居座った。
「あーもうっ、俺どーしたらいーのー!?」
「知らねーよ!
金もないのに居座るんじゃねー!バーロー!」
「……おそ松兄さん」
暖簾から顔を出したチョロ松。
「チビ太、一本ビール」
「えっチョロちゃんの奢り?!」
「1本ね?どーせ、お金ないんでしょ」
ビール瓶を二人で分け合う。
「タダ酒うんまー!」
「普段からツケで飲んでんじゃねーか!」
「おそ松兄さん、最近ちょっとひどいよ?
ヒナちゃんが可哀想だ」
チビ太のツッコミもスルーして話し始めるチョロ松。
「なんだよ、結局お説教?
嫌だねぇ~説教ライジングチョロ」
「ライジング呼ぶな。
そんなんじゃ弟たちに取られるよ?」
「……お前はどーなの?」
俺が聞くと酔っぱらう前から赤くなるチョロ松。
ほらみろ!お前だって好きなくせに!
「ぼ、僕?」
「あげないよ?」
「……だったら聞くなよ」
お互いため息をつきながら、ちびちびとビールを飲んだ。