第20章 猫と十四松
<一松side>
動物園から帰ってきたと思ったら、十四松がおかしなことになってる。
いつもの笑顔のくせに目から涙が零れている。
「ど、どうした……?
十四松」
「え?何ー?一松兄さん」
「何ってお前……それ」
「あ……これ?よくわかんない。
一松兄さんとヒナ見てたらこうなった!」
「俺と……ヒナ?」
「僕ちょっと素振りしてくる!」
十四松はそのままバット持って家から出ていった。
ヒナも状況が読めずに呆然としている。
「なんかあったの?あいつと」
「え?ううん。そんなことは……」
何が何だかわからず動揺しているヒナ。
動物園で何かあったわけでもなさそうだ。
十四松は俺とヒナを見てたらって言っていた。
もしかして……ヤキモチか?
十四松は優しすぎるからきっと俺のことを……
俺は考えて考えて考えて……
ヒナに向かって言った。
「……ヒナ……十四松の気持ちに応えてやって」
「……ニャー……」
って、なんでここで猫になんだよ!!!
かっこつけた俺返して!