• テキストサイズ

【松】猫と六つ子

第20章 猫と十四松


<ヒナside>

「十四松?お弁当……
全部、無理に食べなくてもいいんだよ?」

一松が来られなかったから、お弁当は量が多い。
昨日もすごいご飯食べてたし、お腹大丈夫かな?

「全然へーき!うんますぎー!」

結局、ペロリと食べてしまった。
少なく作ったつもりもないんだけどな……



「じゃあ、ちょっとご飯休憩しよ」

「うん!」

「あ、右向きで横になるといいんだよ!消化にいいんだって」

十四松は私の膝に頭をおいて横になった。

「ヒナ、お母さんみたいだ」

クスクスと袖を口に持っていきながら笑う十四松。
お母さん……かぁ……
十四松には、どうしても世話を焼きたくなってしまう。
私は十四松の髪をそっと撫でた。
十四松は気持ちよさそうに目を瞑った。



「……そろそろ帰ろうか?」

「えっ?でも全部見てないよ?」

「でも、一松兄さんのこと心配でしょ?」

膝から十四松はじっと私を見つめた。

「そうだね……動物園はまた来れるもんね!」

「うん!」



家に帰ると一松は居間で寝間着のままゴロゴロしてた。

「ただいまー!あ、寝てないし!」

「……寝るの、もう飽きた」

「もーっ、熱さがったかな?」

おでこを触ると一松はちょっとめんどくさそうにため息をついた。
あ、いつもどーりだね。

「……どうだった?動物園」

「楽しかったよー!はいっ!」

私は一松にライオンのぬいぐるみを渡した。

「いい大人が、お土産にぬいぐるみ」

「えー?いいでしょ?十四松と一緒に選んだんだよ!」

「十四松……?」



十四松は居間の入口に立ったまま動かなかった。
目からは涙が零れていた。
/ 313ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp