第20章 猫と十四松
<十四松side>
「ヒナー!準備できたー!」
僕は水筒にお茶を入れて、台所にいるヒナに声をかけた。
ヒナは朝から台所でお昼のお弁当を用意してる。
台所はずっといい匂いがしてる。
あー楽しみだー!
「こっちも出来たよ!一松呼んでこよー?」
ヒナと二階に上がると一松兄さんはまだ寝間着のまま寝ていた。
「あー……もう時間?」
のそりと一松兄さんはダルそうに身体を起こした。
「一松?ちょっと顔赤くない?」
「……ん、なんかダルい」
ヒナは一松兄さんのおでこを触った。
僕はそれを見てたら、少し変な気分になった。
なんだろ……?
胸が痛い……気がする。
「風邪かなぁ?」
「一松兄さん僕が治してあげマッスル!」
「十四松、それはやめて……
俺は寝てるから二人で行ってきて」
「でも一松兄さん……」
「お前ずっと楽しみにしてただろ……
頼むから行ってきて」
一松兄さんが困ったように言うから、僕はそれ以上言えなかった。
僕達は二人で動物園に向かった。
「十四松!ゾウいるよっ」
「エレファントっ!でっかー!」
僕がゾウの真似をすると嬉しそうに笑うヒナ。
僕達はぎゅっと手を繋ぎながら色々な動物をみる。
楽しいっ!
ヒナが大好きだ!
「あ!ライオン!かっこいー!
……一松にも見せたかったねー」
うん、そうだね。
って僕は言おうとしたんだ。
でも、何故か声が出なくて、また胸が痛くなった。
痛くなるのはいつも一松兄さんとヒナが話しているときだ。
羨ましいのかな?
どうして痛くなるの?
僕が一松兄さんになったらどうなのかな?
僕は十四松だからなれないんだけどさ……