第19章 猫とチョロ松
<ヒナside>
私は近くの公園まで、チョロ松くんを引っ張り連れていった。
「な、なんなの?
見せたいものって……」
「あ、あのね……」
チョロ松くんが喜ぶこと。
これは喜ぶことのはずっ!
何度も頭の中でその言葉を繰り返し、覚悟を決めて、私は帽子とカーディガンを外した。
「ヒナちゃん……っ?!」
私の頭には猫の耳。
後ろにはしっぽを生やしていた。
最初はたまたまなった、この状態。
薬を両方飲んでみたらなることができた。
……や、やっぱり恥ずかしすぎる!
チョロ松くん喋らないし!絶対引いてるし!
しかも、こんな明るい場所で見せるとか馬鹿なの!?
あー!恥ずかしすぎて、土に埋もれたい!
「やっぱり……」
「え?」
「超絶可愛いー!ヒナちゃん!サイッコーだよ!何でこんな可愛いの!?
あー!もう死んでもいいー!」
「よ、よかった……じゃあ、写真とる?」
「えっ?いいの!?」
「うん」
チョロ松くんは写真を撮りまくっていた。
あ、二人で撮るんじゃなくて私だけなのね……
写真に夢中になっているチョロ松くんに私はここぞと話しかけた。
「チョロ松くん。ご、ごめんね?」
「え?」
「私、みんなに甘えて、当たり前のように松野家に居座って……
家族でもないのに……迷惑だよね」
「そ、そんなこと……」
「わ、私ね、実は仕事ももう決まって、自分の家に帰るつもりなの。
だからね、最後にチョロ松くんに喜んでもらえるかなって思って変身してみたの!」
お願い……
だから、嫌わないで……