第16章 真実と葛藤
「……結局、猫なの?人間なの?」
寝癖の頭をかきながら、おそ松兄さんが言った。
「ヒナはヒナだよー!」
「十四松はちょっと黙ってなさい」
「……あい」
十四松兄さんが口を挟むが、気難しい顔をしているチョロ松兄さんが嗜めた。
部屋には一松兄さんとヒナちゃんと十四松兄さんが正座で座らされていて、ヒナちゃんは今までの経緯を僕達に話した。
「っつうことは、一松と十四松は知ってて俺達に隠してたわけだ?」
「そ、それはっ、私がみんなに言う勇気なくて、猫のまま、みんなと一緒にいたくて!」
「……報告する義務はないよ。
もともと猫で拾ってきたんだし、家では猫だったんだから」
説明しようとするヒナちゃんを手で制し、一松兄さんは喧嘩腰に言いきる。
「そーゆう問題じゃないでしょ、一松。
それは言い訳だよ」
「こんな美味しい状……ととっ、じゃなくて、一松は俺達には言わないほうがいいと思ったわけね?」
「……だってそうでしょ?」
一触即発かと思ったら、ニヤッと二人は笑いあう。
なんだかんだ言って僕らは六つ子。
どうして一松兄さんが言わなかったのかなんてわかりきってる。
いや、わかるよ?でもね?ズルいよ……
僕らの家に女の子が住んでたんだからね?
「あー!でもショックだなぁー!
ずっとヒナちゃんは人間のときも嘘ついてたわけでしょ?」
「ご、ごめんなさい……」
オロオロとしながら、泣きそうになっているヒナちゃん。
「これは償ってもらわないとなぁ?
……俺のお願いきいてくれる?」
「おい、おそ松」
ずっと黙って聞いていたカラ松兄さんがヒナちゃんとおそ松兄さんの間に割り込む。
「あ?なんだよ、カラ松」
「レディを脅すな」
「あー?うっせ!ちょっと黙ってろ!」
「いいの!私が悪いんだから喧嘩しないで!」
「ふーん。じゃー何でも言うこと聞く?」
「……はい」
真剣な顔でおそ松兄さんを見つめるヒナちゃん。
おそ松兄さんはニヤリと笑った。