第14章 長男の本気
<ヒナside>
おでんを頬張りながら、一日を振りかえる。
……楽しかった……
私は猫じゃない自分の時間を楽しんでいた。
みんなの側にいたい。
でも、このままじゃダメだと実感する。
これって潮時、かな……
「ねぇ、この後さ……」
自分の頬をかじりながら、おそ松くんが言いかけたとき、暖簾の外からゾロゾロと人が入ってきた。
「チビ太ー腹減ったぁ……え?」
「レ、レディ?」
「何……やってんの?」
「あー!ヒナー!」
「は?え?どうゆうこと?」
チョロ松、カラ松、一松、十四松、トド松。
六つ子が勢揃いした。
「は、はじめましてっ!
松野チョロ松と言います!」
「はじめまして……
あの、おそ松くんが……」
チョロ松を除く弟達に店から出され、ボコボコと殴られたり蹴られたりしている長男。
「あ、ああ!気にしないでください。
いつものことなんで」
何事もないようにおでんを食べ始めるチョロ松。
「ふぅ……
レディ、今日もビューティフルだ。
おでん好きなのか?」
一息ついて私の隣にカラ松が座る。
「ありがとう、カラ松くん。
おでん美味しいよね」
「おそ松とはどうしたんだ?」
「え?えと……昨日デートに誘われて、今日競馬場に行ってきたの」
「そうか。
……じゃあ、俺ともデートしてくれるよな?」
「う、うん」
カラ松の迫力に押されながらも返事をする。
「はいはーい!僕もー!」
十四松にドーンッと押され、おでんに顔を突っ込むカラ松。
「あ"ーっ!じゅーしまぁーつ!」
「ズルいよ!兄さん達!
僕ともまた遊びに行こうね♪ヒナちゃん」
「なんなら……俺もたまには出かけてやってもいいよ」
ニコニコと十四松が反対側の隣に座り、トド松が更にそこに割り込むと、カラ松の襟元を引っ張り最後に一松が参加してきた。
「ま、待て……
今日はまだ続きが……」
おそ松が何かを言いかけてたけど、後ろで力尽きた。